希望のニート
本書の帯に、『ニート』の著者、玄田有史氏のからのコメントがある。
「この1冊ですべての誤解は払拭されるはずだ」
本当にこのコメント通り、ニートに対する的確な現状把握がされている。
著者である二神能基氏は、NPO法人「ニュースタート事務局」代表で、1993年から目的を喪失した若者をイタリアのトスカーナ地方の共同農園に預け、農作業を通じて元気を取り戻そうというプロジェクトを手がけるとのこと。
つまりニート対策のプロであるといえる。
ニートに関する評論は、どれも抽象的な話が多く、しかもそのほとんどは的を得ていないものばかりであったが、本書には具体的なニートの立ち直り事例や失敗の事例が盛り込まれ、わかりやすい。
ニートをニート個々人の問題として捉えてもなんの解決にもならないし、意味がない。
晩婚化、パラサイト化、少子化、そしてニート問題--- それらはどれも根っこでつながっていて、要するに日本社会の働かせ方、人生の楽しみの方の貧しさに起因する社会構造の問題だと私は考えているのです。(P137)
高度経済成長が終わり、バブル崩壊を経て、今の日本が直面しているのは、「人生の楽しみ方の貧しさ」そのものなんだろうと思う。
会社のために、がむしゃらに働くこと
よき妻、よき母を演じること
いい大学へ行き、一流企業に就職すること
現代とは、かつて信じてきた価値観が崩壊し、新しい価値観を見出せずにいる時代である。
「神」を持たない日本人にとって、何をロールモデルに、価値基準に生きればいいのか?
そのひとつの答えとして、ニートに希望を託すという著者のスタンスには共感できる。
ニート・ひきこもりで悩んでいる本人やその家族はもちろん、現代に生き、なんとなく思い悩んでいる人たちに読んでみて欲しい1冊であると思う。