精神科医でもあり、若者論・サブカルチャー論の著作も多い香山リカの若者と就職との問題を扱った力作。
本書の発行は2004年2月。
「ニート」ということばはまだ使われておらず、そのかわりに「無業」という表現を用いている。
若者のニート化(本書内では、無業化)は、社会的な構造の問題とされ、その中で若者は傷つきやすい弱者として扱われる風潮がある。
玄田有史の「ニート―フリーターでもなく失業者でもなく」などはまさしくその典型で、過剰なまでのニートへの愛情・同情に溢れている。
「ニートは働かないのではなく、働けないのだ」と。
香山リカはこの問題について、若者側の心理状況の変化を分析しており、「就職が怖い」と思う若者は次に挙げる2つの混在した感情を持つという指摘を行っている。
「自分なんか選ばれるわけがない」という極度の自信のなさ、自己評価の低さと、その一方にある「不特定を対象にした求人など自分には関係がないという特権意識」のふたつということにまとめられる(P169)
つまり、誰にでもできる仕事はしたくないが、かといって、誰にもできない特別な能力があるのかと問われれば、そんな自信もない。
ここで重要なのは能力の有無ではなく、自分には無理と思い込んでしまうことである。
斎藤環が『「負けた」教の信者たち - ニート・ひきこもり社会論』でのちに指摘しているように、競争の舞台にあがらないこと、つまり戦って敗れるのではなく、戦わずに負ける(不戦敗)ことで、自らのプライドを温存しているのである。
だからこそ今まさに行われている行政のニートへの就業支援は的外れなのだ。
ニートに就業のためのスキルをつけさせたとしても、そのスキルは決して仕事ができるという自信には繋がらない。
しかも、一長一短で身につくようなスキルで就業可能な誰でもできる仕事など彼らの眼中にはない。あくまで自分だけのための、自分でなくてはならない仕事を彼らは求めているのだから。
就職が怖いと思う若者、自分に自信が持てずにいる若者。
彼らを就職に向かわせるためには何ができるのか?
香山は仕事に過剰な期待を持つ必要性がないことを説き、次のように提案する。
夢や希望がなくても、ひとまず就職を
香山本人も認めているように、これほどまでに無粋な提案をしなければならないほど事態は切迫しているのだ。
ニートを社会の構造的な問題ではなく、個人の、若者の変化として捉えた本書は、新しい時代の働くことの意味、仕事と人生との新しい関係を示唆する意味深く、必読の書である。
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?
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「ひとまず就職」という割には、フリーターからの就職は不利(無理)、自己PRの手段は…などの厳しい条件が突きつけられています。
企業は採用の意思なく、採用は厳選。無理って情報の波の中でどのように就職活動すればいいんでしょう?
考えてもわからないし、行動するにはハードルが高すぎる…って感じです。
MSKさんのまわりにフリーターから就職した人っていませんか?もしまわりにはいなくても、世の中には何人もフリーター→就職って人いることはわかってもらえますよね?
ハードルが高いと感じるのはわかりますが、就職をしたいのであれば、とにかく少しでも興味がある企業に応募し続けることではないでしょうか?
香山も本書で述べてますが、たとえ何十社落ちたとしても、それはMSKさんの人間性とはなんの関係もないことで、運が悪かったな程度って思えばいいんです。
絶対にMSKさんを受け入れてくれる企業はありますから。
そうなんでしょうね。
自分はどうしても、「自分には価値がない」と思ってしまうのです。
そういう部分って、就職云々以前に、心理面の問題かも知れないのですが…。そうは言っても、働かなくては生きていけないので、困ってしまいますね。
この本は読んだけど、愚作だよ。
カーディーラーの事例も、ディーラーさんが悪いし、ゆずしかしゃべらない若者のみ叱るのもフェアじゃないし。この本は論外だと思うよ。